多焦点眼内レンズとは?
老眼を矯正し、裸眼で生活するための治療
水晶体は年齢とともに、硬くなり、濁っていきます。硬くなることを老眼、濁ることを白内障といいます。老化した水晶体を除去し、多焦点眼内レンズを挿入することで、老視を矯正することができます。55歳くらいからが手術適応とされていますが、裸眼で生活しやすくなるメリットがある反面、見え方の質が低下するというデメリットもありますので、屈折矯正の専門医による、慎重な適性検査が必須です。

進化した白内障手術
ヒトは長生きすれば、必ず白内障が進行し、白濁した水晶体を除去する白内障手術が必要となります。通常、白内障手術では単焦点眼内レンズを用いますが、老眼は矯正できません。単焦点眼内レンズのかわりに、多焦点眼内レンズを用いることで、白内障の治療と同時に、老眼まで矯正ことができます。多焦点眼内レンズは進化した白内障手術とも言えます。保険がきかない治療であるため、高額な治療費がかかりますが、レンズによっては手術費用の一部が保険適応となります(これを選定療養といいます)。

多焦点眼内レンズの成績
遠方から近方までカバーしているフルレンジの多焦点レンズ(5焦点・3焦点レンズ)であれば、80〜90%の方が裸眼で生活しています。遠方から中間までの多焦点レンズ(焦点深度拡大レンズ)だと、近方が見えにくい時は軽い老眼鏡が必要です。単焦点レンズの場合、ほとんどの方は眼鏡を必要とします。どの多焦点レンズにも、テストレンズがないため、術前に見え方をシュミレーションできないのが問題点です。
後悔しない眼内レンズ選び
多焦点眼内レンズには何十と種類がありますが、遠くも近くもクリアに見え、まるで若がえったかのような見え方に戻るレンズは存在しません。遠方・中間・近方の見え方や、コントラスト感度(くっきり感)、光りのにじみ、ライフスタイル、対費用効果などに対するニーズを確認し、そして屈折矯正専門医としての経験に基づくアドバイスをさせていただいた上で、総合的にレンズを選択します。

国内承認と未承認のレンズがあります
多焦点眼内レンズの本場であるヨーロッパには多数のレンズが存在します。一部のレンズは日本の厚生労働省の薬事承認をうけていますが、ほとんどは未承認です。未承認レンズには、最先端のデザインと高機能性を有したプレミアム多焦点レンズが存在します。当院では国内未承認のレンズも輸入して、選択することが可能です。
国内承認のレンズを選択した場合、レンズ代は自己負担となりますが、手術に関わる費用は健康保険の適応となります。このシステムを選定療養といいます。国内未承認のプレミアムレンズを選択した場合、レンズ代以外の手術に関わる費用もすべて自己負担となりますが、当院ではそれらの費用は無料です。

遠近と遠中のレンズがあります
遠方から近方まで見えるフルレンジのレンズと、遠方から中間までの焦点深度拡大レンズがあります。焦点の範囲(レンジ)を広げるほど、眼鏡をかける頻度は少なくできますが、見え方の質の低下も大きくなります。そのため、近年は多焦点と単焦点の間である焦点深度拡大レンズ(EDoF)の人気が高まっています。片眼に遠近レンズ、反対眼に遠中のレンズを組み合わせるMix&Matchという方法もトレンドになりつつあります。

選定療養(遠方〜中間)
遠方から中間までが見えやすくなるレンズで、近方は軽い老眼鏡が必要となることが多いです。しかしその分、見え方の質の低下は抑えられており、光りのにじみが少ないので、車の運転、ゴルフ、絵画をする人などに向いています。
- レンズ代(片眼・税込)
-
乱視なし 18万円
乱視あり 20万円
ピュアシー
PureSee
ジョンソン&ジョンソン社の屈折型焦点深度拡大レンズで、光りのにじみがほとんどないのが特徴。回折型と比べ、屈折型レンズは光学的ロスが少ないため、コントラスト感度が高い。乱視対応。

ビビティ
Vivity
アルコン社の回折型焦点深度拡大レンズで、当院ではクラレオンという新素材モデルを使用。回折型なので光りのにじみは少しあり。乱視対応。

選定療養(遠方〜近方)
遠方から近方まで見えやすくなるフルレンジのレンズです。眼鏡を使う頻度を最大限少なくできるのがメリットです。ただその反面、くっきり見えない(コントラスト感度の低下)、夜間に光りがにじむ(ハロー・グレア)など、見え方の質が低下するデメリットもあります。読書、スマホ、パソコンをする人に向いています。
- レンズ代(片眼・税込)
-
乱視なし 24万円
乱視あり 26万円
オデッセイ
Oddysey
ジョンソン&ジョンソン社の回折型連続焦点レンズで、コントラスト感度が比較的高いのが特徴。色収差補正が入っているので、色にこだわる人に向いている。近くの見え方はやや弱い。乱視対応。

パンオプティクス
PanOptix
アルコン社の回折型3焦点レンズで、見え方のバランスがよいのが特徴。中間距離が60cmと他のレンズより近いため、パソコンを使う人に向いている。世界トップシェアのレンズで実績が多い。乱視対応。

ジェメトリック
Gemetoric/plus
唯一の国産メーカーであるHOYA社の回折型3焦点レンズで、遠方に強いGemetoricと近方に強いGemetoricPlusを組み合わせることで、全距離をカバーする。安心の日本製。乱視対応。

ファインビジョン
FineVison HP
BVI社の回折型3焦点レンズで、アポタイズという暗所ハローを軽減する回折デザインを有している。レンズを眼内に支持するハプティクスが4本あるため、長期的なレンズの安定性がよい。乱視は非対応。

プレミアム多焦点眼内レンズ
選定療養の多焦点眼内レンズにはない、最先端、高機能、特殊機能を有するレンズが世界には存在します。当院では日本にはないプレミアム多焦点眼内レンズを自由診療で行っています。
- レンズ代(片眼・税込)
-
すべて68万円
インテンシティ
Intensity
ハティナ社の世界唯一である5焦点レンズで、回折型フルレンジレンズの最上位に位置している。光学的ロスは6.5%と回折型レンズの中では最小で、夜間ハロー・グレアを最低限にしている。遠くから近くまで、シームレスな見え方を追求。乱視対応。

ギャラクシー
Galaxy
レイナー社の世界初AIがデザインした屈折型レンズで、特性的には焦点深度拡大レンズの最上位に位置している。2つのうずまきが特徴で、AIの理論上、光学的ロスは0%。光りのにじみは回折型レンズに比べてかなり少なく、焦点深度拡大レンズより近くまで見える。乱視対応。

レンティスMプラス
LENTIS Mplus
テレロン社の屈折型2焦点レンズです。オーダーメイドで作製できることが最大の特徴で、他のレンズと比べ、屈折度数の精度が50倍も高いです。強度近視・強度乱視にも対応できます。近方の見え方はすべての多焦点レンズの中で最良です。

費用と保証
多焦点眼内レンズ代は健康保険の適応外であるため、高額医療の対象にはなりませんが、確定申告の医療費控除の対象になります。
選定療養(遠方〜中間レンズ)
| 乱視なし | 18万円 |
|---|---|
| 乱視あり | 20万円 |
(片眼・税込)
選定療養(遠方〜近方レンズ)
| 乱視なし | 24万円 |
|---|---|
| 乱視あり | 26万円 |
(片眼・税込)
※別途、手術に関わる費用が必要(健康保険適応)
※手術に関わる費用:適性検査・手術技術料・検査代・診察代・薬代
※単焦点レンズへの交換は自費となります(10万円・税込)
プレミアム多焦点レンズ
| すべて | 68万円 |
|---|
(片眼・税込)
※手術に関わる費用は無料
※手術に関わる費用:適性検査・手術技術・術後6か月までの診察検査代・薬代
※単焦点レンズへの交換は無料です
多焦点眼内レンズの合併症
見え方の質が低下する
光のにじみ
多焦点レンズの光学部には遠用、中間、近用部分の境界がありますが、ここに強い光が当たると、光のにじみが発生します。典型的には、ハロー(光りの輪)、グレア(光のにじみ)、スターバースト(光りの線)があります。

コントラスト感度の低下
単焦点レンズは目に入ってくる光を100%、1つの焦点に集めます。多焦点レンズはその光りを分配して、焦点を増やします。例えば、遠方45%・中間20%・近方20%に分配し、残り15%は光をロスする、という具合です(レンズによって、分配率、ロス率は異なります)。単焦点レンズは、眼鏡は必要ですが、ピントの力が強いので、見え方の質が良く、クリアに見えます。多焦点レンズは眼鏡がなくても、ある程度どの距離も見えますが、一つ一つのピントの力が弱いので、「くっきり見えない」「すっきり見えない」という症状がでることがあります。これをコントラスト感度の低下と言います。

多焦点不耐
上記の症状が非常に強く表れてしまい、「どこも見えない」「多焦点レンズの見え方は自分には合わない」など、日常生活に支障をきたしている状態を多焦点不耐といいます。多焦点という新しい見え方に、脳が順応できない、とも言い換えられます。見え方の質の低下は眼鏡で矯正することができません。1か月経っても順応できない場合、単焦点レンズに交換する再手術が必要になります。

度数ずれ
術後に近視、遠視、乱視が残ってしまっている状態を度数ずれ、といいます。どれだけ術前検査を精密に行っても、度数ずれは生じる可能性があり、特に過去にレーシックをうけられている方は、度数ずれのリスクが高くなります。
度数ずれが大きく生じると、裸眼視力が低下します。度数ずれは眼鏡やコンタクトレンズで矯正することが可能ですが、ICLで治すこともできます。この、レンズを2枚重ねにする方法をアドオン(Add-On)といいます。当院はアドオンに対応しています(ICLについての詳細はこちらを参照)。

