多焦点眼内レンズ
Multifocal intraocular lens多焦点眼内レンズとは?
老眼を矯正し、裸眼で生活するための治療
水晶体は加齢性変化により、硬くなり、濁っていきます。硬化することを老眼、混濁することを白内障とよびます。水晶体が硬化すると、ピントを調節する力がなくなり、近くが見えにくくなります。老化した水晶体を除去し、多焦点眼内レンズを挿入することで、老視を矯正することができます。両眼に多焦点眼内レンズを挿入し、両眼で見て、裸眼で生活することを目標とします。裸眼で生活できるというメリットがある反面、見え方の質が低下するというデメリットがあります(多焦点眼内レンズの合併症を参照)。この2つはトレードオフの関係にあるため、術前に優先順位を整理しておく必要があります。
進化した白内障手術
ヒトは長生きすれば、必ず白内障が進行し、白濁した水晶体を除去する手術が必要となります。これを白内障手術といいます。通常、白内障手術では単焦点眼内レンズを用いますが、老眼は矯正できません。単焦点眼内レンズのかわりに、多焦点眼内レンズを用いれば、白内障を治療する同時に、老眼まで矯正ことができます。多焦点眼内レンズは進化した白内障手術です。問題点は、基本的には保険がきかない治療であるため、高額な費用がかかることです。
レンズの性能を最大限、引きだす工夫
当院では15年前から多焦点眼内レンズに取りくんでいます。多焦点眼内レンズのパフォーマンスを最大限発揮させるため、できる限りの工夫をしています。術前検査では前眼部OCTを用いて、詳細に角膜を解析します。光眼軸長測定を複数回行うことで、レンズの度数の計算誤差を最小化します。手術中は、レンズ位置を最適化するため、水晶体拡張リング(CTR)を併用します。またサージカルガイダンスという、乱視を可視化する器械を用いて、1°単位で乱視用レンズの角度を合わせます。
後悔しない眼内レンズ選び
国内認可と未認可のレンズがあります
水晶体は加齢性変化により、硬くなり、濁っていきます。硬化することを老眼、混濁することを白内障とよびます。水晶体が硬化すると、ピントを調節する力がなくなり、近くが見えにくくなります。老化した水晶体を除去し、多焦点眼内レンズを挿入することで、老視を矯正することができます。両眼に多焦点眼内レンズを挿入し、両眼で見て、裸眼で生活することを目標とします。裸眼で生活できるというメリットがある反面、見え方の質が低下するというデメリットがあります(多焦点眼内レンズの合併症を参照)。この2つはトレードオフの関係にあるため、術前に優先順位を整理しておく必要があります。多焦点眼内レンズの本場であるヨーロッパには多数のレンズが存在します。その一部のレンズは日本の厚生労働省の認可をうけていますが、大半は未認可です。日本の眼科の多くは、認可された多焦点眼内レンズのみ取り扱いをしています。国内未認可のレンズには、国内認可のレンズにはない高機能性と、最先端のデザインを有したレンズが存在します。当院では未認可のレンズも輸入して、使用することが可能です。
残念ながら、すべての方を満足させられる、完璧なレンズはまだ存在しません。遠く、中間、近くの見え方、光のにじみの少なさ、どれを重視するかは人によって異なれば、選ぶレンズは変わってきます。人間の目にも個人差があり、例えば角膜の形状や瞳孔の大きさによって、レンズの向き不向きがあります。レンズのデザインや特徴、院長の自験例もふまえて、数あるレンズの中から、最適な1枚を提案できるよう努力しています。
国内認可のレンズ(選定療養)
当院では15年前から多焦点眼内レンズに取りくんでいます。多焦点眼内レンズのパフォーマンスを最大限発揮させるため、できる限りの工夫をしています。術前検査では前眼部OCTを用いて、詳細に角膜を解析します。光眼軸長測定を複数回行うことで、レンズの度数の計算誤差を最小化します。手術中は、レンズ位置を最適化するため、水晶体拡張リング(CTR)を併用します。またサージカルガイダンスという、乱視を可視化する器械を用いて、1°単位で乱視用レンズの角度を合わせます。
レンズ費用(税込) | 片眼 32.8万円 両眼 65.6万円 |
---|
※別途、保険負担割合応じた、手術技術料・検査代・診察代・薬代が必要です
国内で認可された多焦点眼内レンズを使用する場合、レンズ代は自費ですが、手術に関わる費用は保険適応となります。このシステムを選定療養といいます。メリットは手術の総額をおさえられることですが、デメリットはレンズはオーソドックスなデザインに限られ、先進的なレンズを選択できないことです。当院では下記のレンズから選択できます。
- 1オデッセイ Odyssey
連続3焦点・回折型
遠方重視、近方は弱め
- 2シナジー ynergy
3焦点・回折型
近方重視、光のにじみが強い
- 3パンオプティクス PanOptix
3焦点・回折型
遠中近のバランスがいい
- 4ファインビジョン FineVision
3焦点・回折型
4本脚により固定がよい
- 5ジェメトリック Gemetric
3焦点・回折型
唯一のメイド・イン・ジャパン
- 5ビビティ Vivity
焦点深度拡大・回折型
光のにじみがかなり少ない
遠くから中間まで、老眼鏡が必要
国内未認可のレンズ(プレミアム白内障手術)
レンズ費用(税込) | 片眼 69.8万円 両眼 138.6万円 |
---|
※術前・術後3か月までの診療代・薬代を含みます
国内未認可の多焦点眼内レンズを使用する場合、手術に関わるすべての費用が保険適応外となり、自由診療となります。手術は高額ですが、世界中のすべてのレンズから、最先端で高機能の多焦点眼内レンズを選択することができます。さらに当院では白内障レーザーを用いたプレミアム白内障手術FLACS(Femto-Second Laser Cataract Surgery)を行っています。当院で人気の、国内未認可レンズは下記のとおりです。
白内障レーザー カタリスの画像
- 1インテンシティ Intensity
世界唯一の5焦点・回折型
光学的ロス6.5%(世界最小)
遠くから近くまで、見え方のバランスがよい
- 1ギャラクシー Galaxy
連続焦点・うず巻き状屈折型
光のにじみがほとんどない
近くは少し弱め
- 3レンティスMプラス LENTIS Mplus
2焦点・屈折型
オーダーメイドで作製可能
強度近視、強度乱視に対応
近くの見え方が最もよい
多焦点眼内レンズの成績
裸眼で生活できる確率 80〜90%
レンズの種類によっても多少異なりますが、3焦点もしくは5焦点眼内レンズであれば、およそ80〜90%の方が裸眼で生活できています。単焦点レンズを用いた場合、その確率はわずか5〜10%しかありません。どの多焦点眼内レンズにもテストレンズがないため、術前に見え方をシュミレーションできないのが難点です。
多焦点眼内レンズの合併症
見え方の質が低下する
- 1光のにじみ
-
多焦点レンズの光学部には遠用、中間、近用部分の境界がありますが、ここに強い光が当たると、光のにじみが発生します。典型的には、グレア・ハロー・スターバーストがあります。
- 2コントラスト感度の低下
-
単焦点レンズは目に入ってくる光を100%、1つの焦点に集めます。多焦点レンズはその光りを分配して、焦点を増やします。例えば、遠方45%・中間20%・近方20%に分配し、残り15%は光をロスする、という具合です(レンズによって、分配率、ロス率は異なります)。単焦点レンズは、眼鏡は必要ですが、ピントの力が強いので、見え方の質が良く、クリアに見えます。多焦点レンズは眼鏡がなくても、ある程度どの距離も見えますが、一つ一つのピントの力が弱いので、「くっきり見えない」「すっきり見えない」という症状がでることがあります。これをコントラスト感度の低下と言います。
- 3多焦点不耐
-
上記の症状が非常に強く表れてしまい、「どこも見えない」「多焦点レンズの見え方は自分には合わない」など、日常生活に支障をきたしている状態を多焦点不耐といいます。多焦点という新しい見え方に、脳が順応できない、とも言い換えられます。見え方の質の低下は眼鏡で矯正することができません。1か月経っても順応できない場合、単焦点レンズに交換する再手術が必要になります。
度数ずれ
遠用の焦点を遠くに合わせたはずが、ずれてしまうことを度数ずれといいます。近視、遠視、乱視が残ってしまっている状態です。度数ずれは、どれだけ術前検査を行っても、一定の確率で生じます。特に過去にレーシックをうけられている方は、度数ずれのリスクが高くなります。
度数ずれが大きく生じると、裸眼視力が低下します。度数ずれは眼鏡で矯正することが可能ですが、ただ多焦点眼内レンズは、眼鏡を使わずに生活したいという方が選択する治療です。当院で近視治療として行っているICLは、多焦点眼内レンズの度数ずれも治すことができます(ICLについての詳細はこちらを参照)。
この再手術方法をアドオン(Add-On)といいます。多焦点眼内レンズが発展途上の日本では、アドオンは一般的ではありませんが、当院は対応可能です。
※アドオンは保険外診療です
費用と保証(すべて税込価格)
選定療養
レンズ代 | 片眼 32.8万円 両眼 65.6万円 |
---|---|
手術に関わる費用 | 保険適応(保険負担に相じる) |
単焦点眼内レンズ交換 | 単焦点眼内レンズ交換 |
レンズ代アドオン 片眼 | (乱視なし) 34.9万円 (乱視あり) 39.9万円 |
※手術に関わる費用に含まれるもの
適性検査、手術技術料、検査代、診察代、薬代
プレミアム白内障手術「FLACS」
レンズ代 | 片眼 69.8万円 両眼 138.6万円 |
---|---|
適性検査 | 1万円 |
手術に関わる費用 | 無料 |
白内障レーザー使用 | |
単焦点眼内レンズ交換 | 無料保証 |
アドオン 片眼 | 15万円保証 |
※手術に関わる費用に含まれるもの
手術技術料、術後3か月までの検査代、診察代、薬代